【金門橋サイクリング】(仕事場D・A・N通信vol.41)

 坂道とケーブルカーで有名なサンフランシスコ。アメリカ西海岸は早くに海外旅行ブームの来た場所だ。だが私達が出かけたのは随分後になってからだった。ハワイや西海岸に、いわれのない抵抗があったのだ。

 出かけてみれば、移動もし易い、こじんまりした印象のアメリカっぽくない街だった。起伏の激しい町並みやケーブルカー博物館、フィッシャーマンズワーフなど一通り楽しんだ後、気になっていたアトラクションに申し込んだ。

 ゴールデンゲートブリッジ(金門橋)を自転車で渡り、フェリーで戻ってくるものだ。ガイドが先導するわけではない。レンタサイクルと地図を渡され、夕刻の閉店時間までに返却するよう言われるだけだ。

 街ブラを自転車でというのは観光地によくあるような気がする。最初、そんなイメージでいたのだが、実はこの行程、結構な距離(15km余り)や坂がある。そこそこの速度で進んでいかないと着かない。金門橋は高さ67メートル、全長2,737メートルの大橋脚。中央部辺りの展望ポイントは、とても気持ちが良いのだが、とにかくでかい。

 しかもそこからまだ、湾の向こう側、サウサリートの街を目指して下り坂を疾走しなければならない。そこの桟橋から戻りのフェリーが出るのだ。

 自転車が余り得意ではない妻は、ちんたらペダルを漕ぐ。私は何度も止まって追いついてくるのを待つ。こんな事を繰り返しているとイライラしてくる。すると、「楽しくない。仕事しているみたいだ。観光に来ているのに」と言い出す。「サウサリートで美味いハンバーガーを食おうよ!」と話をそらして進もうとする私は、予定時間の押している添乗員気分である。

 結果的には、自転車返却時刻にギリギリ間に合うフェリーにも乗れたし、その前にバーガーも食べられた。帰路のフェリーから元アルカトラス刑務所島も見られたから良かったのだけれど。

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家族心理臨床家で漫画家でもある団士郎さんに関する情報をまとめたオフィシャルページ。本ページは、本人の了承を得てアソブロック株式会社が運営しています。

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