2021.02.21 23:09【同じことを何度も】(仕事場D・A・N通信vol.21)「優しい旦那さんやねーって、言うてはったよ」と妻が語っている。 言われて嬉しいのは当然だが、そんな風に私に話している妻が嬉しそうだった。だから何度でもそう言ってもらえるように行動しようと思っていた。 妻が末期がんと診断され、抗がん剤の点滴に三週間に一度、大津日赤に通った。11時前...
2021.02.14 23:30【世界の車窓から パリ】(仕事場D・A・N通信vol.20) 列車に乗っているのが好きだ。だから長寿ミニTV番組「世界の車窓から」も大好きだ。これがDVD bookになったものが50巻以上発行されたことがあったが、全巻購入した。買っても読まない本や、見ないDVDも少なくない中、これは全部見た。 「鉄道オタク」中の下位分類をすると「乗り鉄」...
2021.02.08 01:38【後楽園ホール】(仕事場D・A・N通信vol.19) カシアス内藤というボクサーがいた。沢木耕太郎著「一瞬の夏」の主人公。東洋バンタム級タイトルマッチに再挑戦して敗れたハーフのボクサーだ。 紆余曲折はあったのだが、彼が癌を克服して再起するにあたりボクシングジムをやりたいと言ったそうだ。長い付き合いのあった沢木さんと、写真集「fig...
2021.02.01 01:42【二人の先生】(仕事場D・A・N通信vol.18) 卒業論文用の実験素材として、16ミリフィルムでアニメを製作することになった。本格的な映像制作になるので、先生方からTVカメラマン(先輩卒業生)を紹介された。そして御挨拶に関西テレビまでお二人一緒に出向いて下さった。 アメリカの心理学者の論文の追試実験で、準備物には厳密さが要求さ...
2021.01.25 07:23【読書、数珠つなぎ】(仕事場D・A・N通信vol.17) 毎週、土曜日、朝日新聞の書評欄を見る。先ず、知っている本があるかどうかをザッと。基本的に新しい本が多いから、掲載の本を既に読んでいたりすると嬉しい。ここで取上げられるものを、先んじて書店でチョイスしている自分が良い感じなのだ。 著者も知らないし、読みたいと思わないジャンルの本も...
2021.01.17 23:05【木陰の物語製作】(仕事場D・A・N通信vol.16) このタイトルで雑誌4頁の短い物語を描き始めて21年目が終わろうとしている。スタートが月刊誌だったから月に一作。紆余曲折もあったが、今、第252話を描き終えたところだ。 こんなに長く描いているとマンネリに陥るのは仕方がない。それより本当に困るのは、以前に描いた話を覚えきれないこと...
2021.01.12 00:19【飛んでイスタンブール】(仕事場D・A・N通信vol.15) イスタンブールに一週間、居続けることにした。トルコ国内の観光地に遠出したりせず、市内で二度ホテルを引っ越した。 最初のホテルだけは出発前に二泊、頼んであった。空港バスから路面電車への乗換駅近くの、アメリカ人団体ツアーが多く利用しているホテルだった。一晩経って、値段も手頃だったし...
2021.01.04 00:30【緑波/正太郎】(仕事場D・A・N通信vol.14) 「ロッパ日記代わり手当たり次第」は古い本ではない。しかし古川緑波は1903年生まれで、1961年に亡くなった喜劇役者だ。私が子どもの頃、ラジオでよく名前や声を聞いていた。文章家でもあるので、本もたくさん出ている。そんな中の一冊を気まぐれに手にして、少し読んで長いこと放置してあっ...
2020.12.28 13:21【家族写真】(仕事場D・A・N通信vol.13) 一枚の集合写真がある。家族なのだろう。 世の中に溢れる記念撮影だ。 しかしこの写真が特異的なのは、笑顔で写っている老若男女すべてが、おそらくこの後ごく僅かな間に皆、居なくなったことだ。彼らは再び、こんな風に集うことはできなかった。 展示されていたのは、ベルリンの「ホロコースト・...
2020.12.21 03:05【海外旅行】(仕事場D・A・N通信vol.12) 趣味といっていいものに旅がある。国内は仕事で出かけることが多いので、趣味の旅となると海外が多くなる。 五十歳で公務員を辞めてフリーになったとき、経済的には慎重でなければならなかったが、時間の自在性は圧倒的に拡大した。引き続き一家の担い手として仕事に精を出さなければならなかったが...
2020.12.13 23:57【コモンボ(エジプト・ナイル川流域)】(仕事場D・A・N通信vol.11) 漫画家三人でエジプト旅行に出かけた。前年、観光客のツアーがハトシェプスト葬祭殿で、イスラム原理主義過激派のテロリストに銃撃された。日本人10人を含む観光客62人が死亡したニュースの後のこと。エジプトの観光産業は大打撃を受けていた。狙ったわけではないが人気薄で、20人足らずの快適...
2020.12.06 23:28【孤塁】(仕事場D・A・N通信vol.10)「孤塁」吉田千亜 著 東日本大震災・津波被災地に通うようになって10年。福島原発事故のその後は、他の津波被災地の復興度合いと対比的に見続けてきた。その間、チャンスがあって出かけたウクライナ・チェルノブイリ原発事故現場は、首都キエフから車で三時間足らずのところにある。事故現場から...