【レ】LEON(私的埋蔵文化財)

 ジャン・レノである。この映画の孤独な殺し屋で大人気になった。でも、その前の「グラン・ブルー」でも潜り屋エンゾとして、多くの観客の目を引いた。

 私には映画として「LEON」より「グラン・ブルー」の方がずっと面白い。ジャン・レノもこちらの方がいいと思う。素潜り競技の選手である主人公と昔なじみの男・エンゾがジャン・レノなのだが、そのあり様が何ともいえず良い。イタリアの田舎町、地元の頼りになるヒトクセある男を実在感たっぷりに演じている。

 それと比べると、「LEON」はスタイリッシュに固めた役どころが強すぎる気がして、こちらの感想に余地がない。少女との関係から引き出される感傷も、監督が用意したように引きずられている気がするのだ。

 ジャン・レノは一時の俳優ではない、面白いフランス映画にあれこれ登場している。しかしアランドロンやジャン・ポール・ベルモンド、ジャン・ルイ・トランティニアン、ジャン・ギャバンなどのように息長い役者に思えないのはなぜだろう。その後の出演作品の選択が悪いのか、フランス映画との相性が良くないのか。「LEON」がいいから、その一発屋でも良いと思っているファンも少なくない気もする。

 「グラン・ブルー」も「LEON」も監督はリュック・ベッソン。この監督も、たくさん映画を撮っているし製作もしている。しかし、同じような映画ばかり撮っている監督の印象が拭えない。共に嫌いではない映画人だから、目につくと作品に手も伸びるのだが変な具合だ。「LEON」にはこのジャン・レノだけの熱狂的なファンがいるようで、そこもちょっと引っかかるところだ。

  「LEON」にはゲイリー・オールドマンという男優が登場するが、この人がなんとも曲者なのだ。いろんな作品で目にするが、どれもこれも個性派というかクセの強いバイ・プレイヤー。とんでもなくしつこい悪党に見える。

 そして女優はまだ子役から脱してはいなかったナタリー・ポートマン。ここで初お目見え以来、出演する映画を順に見続けて、私は保護者か!と自分に突っ込みたくなるほどだが、気が付いたらもう40歳を過ぎていて出演作も50本近くなるらしい。こちらが歳をとるのも当然だ。

士郎さん.com

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