【木陰の物語製作】(仕事場D・A・N通信vol.16)
このタイトルで雑誌4頁の短い物語を描き始めて21年目が終わろうとしている。スタートが月刊誌だったから月に一作。紆余曲折もあったが、今、第252話を描き終えたところだ。
こんなに長く描いているとマンネリに陥るのは仕方がない。それより本当に困るのは、以前に描いた話を覚えきれないことだ。
毎回、それなりに張り切って新しいものを描こうとしている。ところが半分ほど仕上げたところで突如、以前、同じ事を描いているのに気付いたりする。そんな時の落胆は半端ない。
しかし連載漫画家としては、そんなことは言っていないで速やかに新しいものを描き直す。心の中では、この時間の無駄、エネルギーの無駄を呪っているのだが、誰に愚痴れることでもない。
加えて、歳のせいで描く内容が古臭く、説教臭くなってきているのではないかと不安でしかたがない。そうならないよう気にしているから、余計そう感じるのかもしれない。長期の継続的創作は本当に難しい。
よく聴くミュージシャンのベスト一曲は? と考えてみると、初期の楽曲ばかりが思い出される。大ヒットも初期の作品に片寄る。創作者は結局デビュー作を越えられないとかいう。
そんな中では、サザンの桑田や中島みゆきの在り方は驚異的だ。いつもその時代に生きていて、人々を捉え続けている。
叶うものなら自分もそうありたいものだ。怠けることなく、創作を継続しようと思うが、決意の後は頑張る以外に方法はない。頑張ったら何でも叶うと考えるほど幼稚ではないから、何か上手いやり方があるのではないかと、そんな思案も常によぎる。クリエイターであり続けるのはなかなかのハードワークだ。
そこを打開する方法のひとつが、他世代との対話ではないかと思う。独り言のような創作は私の作業には向かない。相手の言葉に導かれて出てくる自分の言葉が、なにかを気付かせてくれることが多い。そういう言葉が他者にも届くのだろう。
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