【楽しき読書日誌】(仕事場D・A・N通信vol.25)

 書評月刊誌「本の雑誌」、朝日新聞読書欄、週刊文春の書評欄、これらはほぼ定期的に目を通す。この界隈で近頃、私的には賑やかなことになっている。

 まず恩田陸著「灰の劇場」である。はっきり言って面白いと思っているのではない。しかしつまらないからやめてしまうことにもならない。何か落ち着かない、ザワザワが続いていて、まだ併読中だ。似たようなことを、もっと絶賛で書いている書評があって気になったが、今のところ感想が変化することはない。

 私発信で確実に三人の人が購入して読み始めたのがアネッテ・ヘス著「レストラン ドイツ亭」。書評誌にも登場したし、先日の日経新聞読書欄にも掲載されたらしい。掲載より先にチョイスして読んでいたのでちょっと気分が良い。1960年代、初めてのドイツ国民によるナチの戦争犯罪裁判。ある時期までドイツ国民の多くは強制収容所のことなど知らずに戦後を過ごしていた。そんな若者が、家族の中にナチ時代の爪痕が加害者、被害者、傍観者として埋め込まれていることを知る。巧みに歴史的事実を織り込んだ小説だ。

 そして書評文で一気に掴まれてしまったのがアン・ケース/アンガス/ディートン著「絶望死のアメリカ」。三年連続で平均寿命が下がったというアメリカの今を分析している。アルコール、ドラッグ、自殺。いずれも意思の介在した死だ。すぐ読みたいと思ったのでKindle版で購入して読み始めた。

 Kindleといえば月会費で読み放題のアプリがある。ここで時代劇マイブームの続きで鬼平犯科帳を劇画コミックスで読んでいる。他にも全く知らない漫画を、当たり外れにこだわることなくササッとみていると、時々とてもセンスの良い作者に会う。だいたい女性だ。

 当然のことながら雇用関係から徐々に遠ざかっている私の日常。読書時間や録画した映画、ドキュメンタリーを観る時間が、自由に取れるようになったのは楽しい。その一方で、コロナきっかけで新たな仕事が加わったりして、以前と比較すればゆっくり気味ながら、好きな事をして多忙な昨今といったところだ。

士郎さん.com

家族心理臨床家で漫画家でもある団士郎さんに関する情報をまとめたオフィシャルページ。本ページは、本人の了承を得てアソブロック株式会社が運営しています。

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