【う】ウエストサイド物語(私的埋蔵文化財)

 パンフ最終頁の下に、懐かしい思春期の万年筆文字でs37.8、(1962年)大阪・松竹セントラルと二度、日付を書いている。あの頃、「ウエストサイド、何回観た?」と言い合うのが流行った。

 大人になってからだって、同じ映画を二度、料金を払って劇場で観た記憶は少ない。ましてそれが中学生、運賃(国鉄)を使って大阪まで出かけてとなると余程のことだ。更にその右に、s39.8フェスティバルホールでと書いてある。三度目である。当時、ウエストサイド物語は本当に凄い衝撃だった。

 そのパンフレットが他のものとは違ってクリアファイルに入って並んでいた。そしてそこに、こんなメモがあった。大ファンだという知人に公開当時のものを貸してあげたのだが、古いものだからホチキスで留めたところが破れてしまったらしい。その謝罪メモである。しかし、こんな事実、まったく記憶にない。

 そして次のパンフレットは1968年(多分この年の全国公演)の、劇団四季の「WEST SIDE STORY」である。大阪厚生年金会館にチケットを握りしめて観に行った。日本のミュージカルを観ることなど初めてだった。70㎜映画大画面のイメージが強烈すぎて迫力がなかった。鹿賀丈史、市村正親、飯野おさみなんて俳優陣だったのだが。

 そしてその30年程も後(2016年)、劇団四季に入団していた娘が「ウエストサイド物語」のアニタ役で出演した。ロングランの京都公演は何度も観に行った。ここでまたリピーターになるなんて、想像を超えた展開だった。

 2022年2月、S.スピルバーグ監督がリメイクした新作「ウエストサイドストーリー」が公開される。きっと観に行くだろう。私の長い、長い「ウエストサイド物語の物語」はいまだ完結せずといったところだ。

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家族心理臨床家で漫画家でもある団士郎さんに関する情報をまとめたオフィシャルページ。本ページは、本人の了承を得てアソブロック株式会社が運営しています。

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