【お】オリエント急行殺人事件(私的埋蔵文化財)
英国・ロンドンからトルコ・イスタンブールまで。アガサ・クリスティの小説でも有名なヨーロッパ横断の国際列車「オリエント急行」(終点やルートはいろいろ変化したらしいが)。いつか乗れたらとずっと思っていたが、まだ経験はない。もっとも最近は、一人で豪華寝台列車に乗るのもなぁと思うようになった。
「乗り鉄」の私は、ヨーロッパを走る寝台列車には何度か乗ったことがある。初めての経験はスイス・ジュネーヴからローマへの夜行列車だった。アルプスを貫くシンプロントンネルを抜ける旅。同行グループの一人が、夜中にトイレに立ったすきにスリに遭い、パスポート紛失ということになった。その対応に添乗員は奔走することになり、他の客はほったらかしのローマ観光になった。
二度目はパリからマドリードに向かう国際列車。妻と二人、ユーレイルパスを持った旅で、寝台列車チケット予約に苦労する珍道中。40年以上前の事で、スペインは狭軌(レールの幅)だった。そのため、フランスとの国境駅では乗客が眠っている夜中に、車両を一両ずつクレーンでつり上げて、広軌から狭軌への台車交換作業が行なわれる。それを見るのが楽しみで乗ったのだったが、旅の疲れで早々に眠ってしまい、目覚めたらスペインの草原だった。
この帰路はバルセロナからパリに、あこがれの赤い弾丸列車「タルゴ」を選んだ。残念なことに個室寝台車は少々トイレ臭かった。エジプトを訪れた時には、アスワンからカイロまでナイル川沿いの砂漠を寝台列車で疾走した。それらしく命名された国際列車がたくさん運行されていた時代。ヨーロッパは隣国同士が近いので、航空機より鉄道が便利なところも多い。
オリエント急行の終着駅「エミノニュ駅」には、イスタンブール滞在中に散策に出かけてみた。列車がいなければ何というものでもないただの駅だった。出発駅のロンドンは今や、英仏海峡海底トンネルを抜けるユーロスターの起点だ。まだ乗車したことはないがセント・パンクラス駅には行ってみた。こちらは国際列車の出発駅の雰囲気たっぷりだった。
駅と言えば、「世界の駅」「新・世界の駅」と題した小写真集があるのだが、そこに登場した駅の半分くらいに訪れたことがあってそれは嬉しかった。かなりな駅好きでもあるな。
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