【ラ】ラスト・シューティスト(私的埋蔵文化財)

 1979年9月2日、大阪十三の弥生座で観たとパンフレットにメモがある。32歳だった私が、なぜそんなところで映画を観ているのか?十三に出かけていたといえば、「ロールシャッハ・テスト講座」の会場が思い浮かぶ。その終了後だったのだろうか?それにしても記憶がない。映画の中身だけではなく、観た弥生座が全く見当つかない。十三・第七芸術劇場なら覚えがあるのだが。

「ラスト・シューティスト」はジョン・ウエインの西部劇である。西部劇にワクワクしていたのは10代、「OK牧場の決闘」(1957)、「ガンヒルの決闘」(1959)、「ガン・ファイター」(1961)など、主演のカーク・ダグラス(マイケル・ダグラスの父親)は独特の存在感のガンマンだった。

 そして一方に「騎兵隊」や「黄色いリボン」のジョン・ウエインがいた。「リバティ・バランスを撃った男」、「リオ・ブラボー」、「駅馬車」、「西部開拓史」、「アラモ」等など、たくさん観た。でもジョン・ウェインのファンではなかった。観る映画にいつも出ている感じだった。

 先日、映画の雑談から友人の妻がジョン・ウエインのファンだと聞いた。なんだか突拍子もない話に、「えぇぇー」と声が出た。「中年女性がジョン・ウエインのファン」、久々の想定外感いっぱいだった。家族でTV洋画劇場を楽しんでいた時代に、西部劇を観て好きになったらしい。今、NHK・BS放送では、ちょくちょくジョン・ウエイン主演の西部劇を放映するが、録画しておこうとか、ちょっと観てみようなんて気には全くならない。

 カーク・ダグラス、リチャード・ウィドマーク、バート・ランカスター、ジェームス・スチュワート、ポール・ニューマン、スティーヴ・マックィーン、クリント・イーストウッド、それぞれの俳優の代表作を見てきた。「荒野の七人」なんて、全映画の中でもトップ10に入れたい好きな西部劇だ。女優よりも圧倒的に男優で映画を観ていた。なのに、そこに名を連ねる気にならない。

 ジョン・ウエインは時代の巡り合わせで損をしたところもある気がする。一つは西部劇がどんどん下火になっていったことで、圧倒的多数の作品に出演していたことから、それ以外の役どころはなく、スクリーンで見ることが減った。

 もう一つは政治的にタカ派の雄であったことだ。二流西部劇役者のドナルド・レーガンが大統領になったり、トランプが復活しそうな気配のアメリカなら、確実に人気者だっただろう。しかし時は、民主党、リベラル、草の根などの潮流が勢いを増していた。そんな中で特殊部隊「グリーン・ベレー」なんて映画を作っていては、時代の波からは完全に古臭い奴扱いだった。

士郎さん.com

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