【はじめに】（私的埋蔵文化財）

　毎日、目にしている棚がある。リビングの壁面半分が階段状になっていて、そこにTVも収まっているからだ。なのに左最上のゾーンには、まったく手を付けたことがない。二世帯住宅を建てて引っ越してきた三十数年前、思いがあってここに、アイウエオ順に映画、演劇、コンサートのパンフレットを並べたのだと思う。その下、二段目の奥も同様にある。

　いつ頃の事だったか、突然、「パンフレット買っても読まないじゃん」と思った。そして必ず購入する呪縛から解放され、コレクションの泥沼から自由になった。

　近年、映画は配信で、コンサート、芝居はほぼ出向くことがなくなった。そして、ある時代までで止まったパンフレット群が棚に残ったというわけだ。どんなパンフレットがあるのかさっぱり覚えていない。いうならば「私的埋蔵文化財ゾーン」。

　誰にも価値のないものだから、私が発掘して日の目を見せてやらねば！等と思ったわけでもないが、「あ」から順に振り返ってみようと思った。それなら五十回は連載できる。

　作業を始めると早速、思いがけないものに出くわした。その中味は、次回ということで･･･。